銅メダルの真実
みなさん、こんにちは。
東京は昨日、今日とやたらと暑い1日になっています。
今日は、お盆を前に、スクラップに興味を持ってもらえるようなことを書きます。
世の中はオリンピックに関心が集まっています。
オリンピックで、メダルの数が何個だとか気にしている人がいます。
金、銀、銅のあれです。
そのうち、もっとも価値が低いものは「銅」です。
もっとも、これを何故かゴールド、シルバー、ブロンズと表現する人がいます。
馬脚を現すか?
ついにきました、我々スクラップ屋の出番です。
ブロンズ ≠ 銅
であると、声を大にして言いたい。
横文字を駆使する人は、ブロンズということで、銅よりも「金銭的」価値が低いことを明らかにしているのです。でも、一方で、正直者でもあるのです。嘘つきではありません。
我々スクラップ屋稼業で、ブロンズと銅を間違えて買い取れば大損をぶっこきます。
ブロンズが意味するものは「青銅(せいどう)」です。
銅を主成分に、錫(すず)を加えます。
スクラップでは、青銅よりも砲金(ほうきん)ということの方が多いです。
これは、青銅が、大砲の砲身に使われてきたためで、英語ではgun metal(ガンメタル、色にもなっています)、日本語ではそのまんま「砲金」となりました。
※金属の用いられてきた歴史を調べると、人々は、昔からよく考えてきたんだなあ・・・という驚きを禁じ得ません。
実際には組成成分の種類や量によってさまざまな性質を示すわけですが、青銅=砲金と理解していても間違いではないはずです。
で、スクラップの買取価格としては、銅 > 青銅(砲金)なのです。
オリンピックメダルを金属くずとして売る場合、銅では売れないということです。
もう少しメダルについて。
オリンピック憲章ではメダルの規格が定められています。
・メダルは、少なくとも直径60ミリ、厚さ3ミリでなければならない。
・1位および2位のメダルは銀製で、少なくとも純度1000分の925であるものでなければならない。
・また、1位のメダルは少なくとも6グラムの純金で金張り(またはメッキ)がほどこされていなければならない。
金、銀、銅メダルのいずれも「少量でも金・銀・銅を含んでいる」と理解しておくのがよいでしょう。
もっと単純に、そしてこれが普通なのですけど「色」だけとするのがいいです。
ただ、素材を知っておくと、売ろうとするときに、あれっ?・・・となる事態は避けられます。
ちなみに、それぞれの地金価格を参考に、材料費だけを考えてみます。
金 1g小売価格 4796円
銀 1g小売価格 72.90円
銅 1g小売価格 0.53円(銅建値530円/kgから)
8/10執筆時点
今回のリオ五輪のメダルは、直径が8.5cm、重さが500gで夏季の中では最も重くできています。
憲章通り、金6gが使われているとして
金メダル 金 4796×6=28,776円
銀が残り494gとして
銀 72.90×494=36012.6円
約64,789円
なお、ロンドン五輪では、いわゆるスターリングシルバー925が使われたために、銅が6%を超えて含まれていましたが、リオ五輪では99%銀分なのです。
これは、リオ組織委員会の自慢しているところでもあります。
調子に乗って続けると、銀メダル、全部銀でできているとして36300円、銅メダルは、高価な錫は1%以下、あと割安な亜鉛も数%含まれるから、間をとって100%純銅としても265円です。
以上、銅メダルの真実をまとめると・・・
① 実際の材料は銅ではなくて、青銅(ブロンズ)。
② 純銅だとしても、数百円の材料費
単純に金銀銅を言いかえるのなら、ゴールド・シルバー・カッパーとしましょう。
カッパーというのが、なんか笑っちゃうのでブロンズなのかもしれません。
どうして頭にお皿を乗せたあいつの姿が浮かんできませんか・・・残暑厳しき折、涼とされたし。
柔道の選手が銅メダルでしょぼくれているのを評して、「頑張ったのだから、それでいいじゃない」という世論の声があります。
実際、銅メダルを喜んでいる海外選手をひきあいに、みんな、銅メダルでも喜んでいるじゃないかと言う人もいます。
でも、金メダル獲得とその後の歴史に金メダリストとして名を残すという、人類の中でその瞬間、一人しか手にできない至高のものを目指して、4年間それだけに打ち込んできた人からすれば、「貰っても銅じゃ・・・」となるのも理解できる気がします。
銅メダル、安いし。